株式会社デンソー 第40回東京モーターショー2007 Press Information
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環境と安全の新技術によるクルマ社会への貢献

株式会社デンソー
取締役社長 深谷 紘一

 
     
 

 「クルマがずっと愛されるために」。この言葉は、当社がCMで皆様にお伝えしているものです。この言葉には、クルマ、人そして社会が共存し、人々が幸せと豊かさを感じることができる「先進的なクルマ社会」の創造に貢献していきたいとの想いを込めています。クルマを運転する人にも、また、子どもや歩行者など運転しない人にも、クルマのうれしさ、やさしさを感じてもらえる、そんなクルマ社会の実現を目指していきたいと思います。

 クルマ社会を地球規模で捉えると、BRICsに代表される新興諸国のクルマ市場の伸びは目覚しく、排出ガスによる環境への影響や交通事故の増加が今後ますます増大していくものと懸念されます。

 デンソーは、「環境」「安全」「快適」「利便」の4つの分野で、先進的なクルマ社会の創造に向けて取り組んでいますが、自動車産業が、特に今、社会から最も期待されていることは「地球環境」にやさしく、「安全」に走るクルマをつくることだと考えています。こうした想いから、私どもデンソーは「環境」「安全」を最重要な分野と位置づけ、クルマ社会への貢献を続けていこうと考えています。

 本日は、その最重要課題である「環境」と「安全」におけるデンソーの考え方と現在の取り組み、そしてこれからの技術の方向性を中心にお話させていただきます。

 まず、「環境」分野の取り組みについてご紹介させていただきます。

 デンソーは、「環境に配慮する経営こそ、21世紀の企業経営」との強い認識の下、「デンソーエコビジョン」を制定しました。そのエコビジョンでは、製品開発、生産、物流、調達や情報開示を含む、あらゆる企業活動で環境に配慮した経営を目指しています。

 特に、「地球温暖化防止」、「環境負荷物質の低減」「清浄な大気の確保」に寄与する新製品と技術の開発に取り組んでいます。

 それでは、この中で、地球温暖化防止のための燃費改善によるCO2削減の取り組みについて、デンソーの最新技術開発のいくつかをご紹介させていただきます。

 まず、初めにご紹介させていただくのが、エネルギーマネジメントシステムについてです。

 例えば、ガソリンエンジンでは、使用する燃料エネルギーの内、20%程度しか実際にクルマが走るために使われておりません。80%もの燃料エネルギーが失われています。デンソーでは、このエネルギー損失を削減するための技術開発に取り組んでいます。

 エネルギーの損失には、ラジエータなどから外部に放出される熱エネルギーや、減速時やアイドリング時に失われる運動エネルギーがあります。熱エネルギーに関しては、現在、エンジンからの排熱を電気に変換するための新しいシステムを開発しています。さらに、既に製品化していますが、エンジンの低温始動時における燃費や排出ガスへの影響、いわゆる冷間始動特性を改善するための蓄熱システムの改良にも取り組んでいます。
 また、運動エネルギーのより効率的な利用を進めるため、減速エネルギーを電気に変換する技術を改良しています。

 デンソーでは、電気、熱に加え、パワトレイン、電子、情報通信といった、競合他社に類を見ない幅広いコア技術を持っています。これらの分野で培ってきた技術、知識、経験、ノウハウがあります。これらコア技術を更に深掘りし、また融合して最新技術開発に取り組むことにより、エネルギーマネジメントシステムの開発を加速してまいります。

 次に、ハイブリッド、ディーゼル、ガソリンの主要なエンジンシステム製品についてご紹介させていただきます。

 まず初めに、環境に優しいということから特に日米で注目され、需要が高まっているハイブリッド車用の製品です。

 デンソーは、このハイブリッド技術で時代の先端を走っています。1997年に、世界初の量産ハイブリッド車であるトヨタプリウス向けに、バッテリECUやDC-DCコンバータ、などのハイブリッド製品の供給を開始して以来、ハイブリッド車用ECUや電動コンプレッサーなど、さまざまな先進的製品を世の中に送り出してまいりました。

 さらに、今年5月には、モータを駆動するインバータを内蔵した高出力のパワーコントロールユニットを製品化しました。このパワーコントロールユニットでは、デンソー独自の半導体デバイス用冷却構造により、従来技術に比べて約60%の出力向上を実現しています。

 次に、ディーゼル車用コモンレールシステムについてです。現在、世界最高圧である180MPa(1800気圧)のシステムを供給いたしておりますが、来年には更に高圧化した200MPa(2000気圧)のシステムを製品化する予定です。この新しい200MPa(2000気圧)システムは、もちろん世界最高の燃料噴射圧力ですが、1回の燃焼で合わせて9回までの高精度な噴射が可能であり、より理想的な燃焼に近づけることによって、お客様に、より良い性能と低燃費をお届けするとともに、地球に対しては、よりクリーンな排出ガスと温暖化ガスの低減をもたらすことができます。

 ガソリンエンジン車につきましては、CO2排出削減に有効である直噴システムが、2010年までに現在の約3倍の480万台に拡大すると予測されています。デンソーは、1996年以来、ポンプやインジェクタなどの直噴システム用製品を供給し続けており、今後、小型化・軽量化などによる更なる燃費の改善を進めてまいります。

 このように、デンソーでは、世界中のお客様のニーズに応えられるよう、ハイブリッド、ディーゼル、そしてガソリンの3つの主要なシステムすべてで、革新的な技術を提供してまいります。

 次に、「安全」分野についてご紹介させていただきます。
 「衝突しても人を傷つけないクルマ」、「衝突しないクルマ」を実現することこそがデンソーの想いであり、そのため、衝突時の被害を最小限にとどめる「衝突安全」と衝突を警告・回避する「予防安全」の2つの分野で様々な技術や製品の開発に取り組んでいます。

 「衝突安全」分野では、衝突予知安全として衝突が避けられないと判断した場合にシートベルトを巻き取り、またブレーキの踏み込みをサポートすることにより可能な限り減速させるプリクラッシュセーフティシステムがあります。昨年発売された、レクサスLS460では、ミリ波レーダセンサ、ステレオ画像ECU、シートベルトECUなどを供給し、歩行者を含む障害物の位置や動きをより正確に認識する、従来以上に安全なプリクラッシュセーフティシステムの実現に貢献しています。
 また、「予防安全」分野では、アダプティブクルーズコントロールシステム、レーンキーピングアシストシステムなどをカーメーカと協力して製品化し、ドライバーの認識や判断能力を補ったり、運転を支援する技術の開発に取り組んでいます。また、クルマの進行方向に合わせてヘッドランプの向きを左右に動かし、カーブの視認性を向上させる世界初のヘッドランプコントロールシステム、暗やみで人や物の認知を支援するナイトビジョンシステムなどを製品化し視界を支援する技術の開発にも取り組んでいます。

 現在、「予防安全」を進化させ、更に交通事故を減らしていくための取り組みを行っています。それは、ドライバーの状態を検知したり、クルマの周辺状況を把握するための技術開発、さらには、それらの技術を組み合わせた新しいシステムの開発です。

 まず、ドライバーの状態を検知する技術としては、顔認証、視線認識、瞬き計測などに関する技術を開発しています。これらの技術は、コックピット内部に設置したカメラでドライバーの顔を撮影し、画像認識処理を行うことによってドライバーの視線方向やまぶたの開き具合を常に検知し、前方不注意や居眠りを検出することを目指しています。
 また、クルマの周辺の状況を把握するために、レーザレーダ、ミリ波、カメラ、無線通信を使ったセンシング技術の開発に力を注いでいます。カメラで撮影した画像をもとに対象物を認識する「画像認識技術」、道路に設置した機器で検出した情報をクルマに伝えたり、クルマ同士が通信しあう「路車間・車々間通信技術」、通信で送られてきた映像やクルマに搭載されたカメラからの映像を、ドライバーから見た自然な形に変換する「画像変換技術」、などの研究開発を行っています。

 今回の展示では、コクピット型のデモンストレーション機器で、視線認識技術を応用した未来システムをご紹介しています。是非、体感していただきたいと思います。

 私どもの強みは、1つには、幅広いコア技術を持つ自動車部品の総合メーカとして、クルマ全体の視点でのシステム構築ができること。2つ目には、技術と技能の融合による先進技術開発を実践できていること。さらには、世界で220の拠点を持つグローバル企業として、各地域のニーズに対応した製品供給が可能なことだと考えています。
 「クルマがずっと愛されるために」、私どもデンソーは、今、申し上げた3つの強みを活かし、これからも人々が幸せと豊かさを感じることができる「先進的なクルマ社会」の創造に貢献してまいります。

以上