炭化ケイ素(SiC)は、ハイブリッド車用パワーコントロールユニット(PCU)のパワー素子※を構成する有望な材料です。SiC製パワー素子を活用することにより、現在のシリコン(Si)製パワー素子と比較し、さらに高い電圧と温度に耐え、電力損失が少なくなるため、PCUを更に小さく、高出力化できると期待されます。
SiCパワー素子の実用化において、最も大きな課題は、車載用のパワー素子に求められる高結晶性SiCウエハを作り出すことです。 デンソーは、より高品質のSiCウエハを生産するための努力を続け、結晶欠陥密度が世界最少である1cm2中数百個という高品質SiCウエハの生産に成功しました。
シリコン製パワー素子を使ったPCUについては、デンソーは、2007年5月にトヨタ自動車株式会社が発売したレクサスLS600hおよびLS600hL向けに、高出力PCUを開発しました。
PCUは、ハイブリッド車の主電池の電圧(288V)をシステム最大電圧(650V)まで昇圧する昇圧コンバータと、直流電圧を交流電圧に変換し、ハイブリッド車の動力源となるモータを駆動する2つのインバータから構成されています。
PCUの高出力化のためには、PCUを構成する複数の半導体パワー素子をそれぞれ大電力化する必要がありますが、大電力化に伴う温度上昇の抑制が課題でした。デンソーは独自の冷却構造を開発することにより、パワー素子の冷却性能を大幅に向上させ、パワー素子の大電力化を可能にしました。
その結果、新製品は当社の従来技術と比較して、PCUの単位体積当りの出力を約60%向上させ、ハイブリッドシステムの性能を向上させました。同じ出力の場合には、当社の従来技術に比べ、体積を約30%、重量を約20%低減することができます。
デンソーは、今後も自動車部品の総合メーカとして、幅広い技術を活用した革新的な技術を開発し、性能を向上させながら、よりコンパクトで低コストなハイブリッド車用の製品づくりをしていきます。
※トランジスタとダイオードからなる電流をオン・オフするスイッチング素子。
以上