「デンソーステークホルダーダイアログ」開催レポート

株式会社デンソー

「ステークホルダーダイアログ2007」を終えて

常務役員 臼井 定広

 みなさん本当に2日間お疲れさまでした。私も実はこのCSRの関係は、この7月から担当になってからまだ半年足らずというところで、私自身も勉強中です。
 今日、ここでのディスカッションの内容の掲示を拝見して、(各担当者の)コメントにもありましたように、この短い期間で的を射たご指摘がたくさんあると、本当に感心しました。
 特に、「内向き」というご意見がありましたけれども、2006年に「デンソーグループ企業行動宣言」を出して、ようやくCSR活動を(この宣言の内容に沿って)まとめていく途上にあるところです。その過程で、「誰に向かってレポートを作ったのか」という、非常に難しい課題をいただいた次第です。
 社員がCSR活動の根本を理解して、日々の行動につなげているかどうか、ということが(デンソーのCSRの)原点だと思いますので、まず足元を固めてやっていこうと考えております。それから、社外のネットワークなど、外に向けた提案を次のステップとしていこうと考えております。性急なやり方はせず、地道に進めたいと思っています。
 いくつかのご提言から、デンソーの弱みの核心をついていると感じるところがありました。真摯に受け止め、今後のデンソーグループのCSR活動へ反映させていきたいと思います。実は今、(CSR活動の)海外展開も考えているのですけれども、やはり地域のいろいろな特性、日本だと常識的な点が、例えば北米ではおかしい、ということがあります。そのあたりをもう少し見極めながら、地域の特性にあった(CSR活動の)展開を考えている最中です。こちらの方もまた何かの機会に報告したいと思います。2日間ありがとうございました。

ファシリテータ 川北 秀人

 みなさん、短い時間でしたがありがとうございました。
 2日間のダイアログは、いつもそうなのですが、インプットとアウトプットのバランスが難しいです。去年は、1日目に工場見学だけでなく、質問などをいただきました。そして2日目にも見学をしていただいて意見を出していただきました。それで、途中で疲れ果ててしまいました。
 今回は2日目に、集中的にみなさんのご意見をいただいたわけですが、時間の制約などがあって、頭の中にあったり、口の中に引っ張っていることすべてを出し切ってもらえなかったのでは、と多少不安が残っています。しかし、ダイアログそのものは終わったとしても、みなさんのその後に活きる人間関係はできたと思いますので、帰られたら、また帰り道に気がついたらでもいいですから、ぜひお互いに連絡を取り合ってください。対話は止めないことが大事です。これをキックオフだと思っていただきたいです。そういう意味はデンソーもわかっています。
 私たちのような第三者の立場の者が「助かるな」と思うのは、継続的な対話にみなさんが慣れてこられたと感じる点です。
 みなさんから出していただいた意見については、今後に反映できることと、できないことがあります。それだけ真剣にとらえていると思っています。そこで気をつけなければいけないのが、ここでみなさんが書いたことを忘れないでほしい、ということです。言っていただいたことについては、見守ったりフォローしたりすることが大事です。社会や市場が関心を持っていれば会社も世の中も変わるけども、ユーザーの要望は、どうしても放置されてしまいます。それではなかなか変わらないので、皆さんは、しつこく、監視して問い続けていってください。ただあまり頻繁に聞くと、逆効果になってしまうので、考えながらやっていただきたいと思います。
 私も、昨日・今日と、高棚製作所などを見学させていただいて、今年の日程の「意味」というものを改めて感じました。その一つは、ブレークスルーやグローバル展開の「組織単位」を、もう少し戦略的に作り変えてもいいのかなと考えさせられたことです。
 例えば二酸化炭素を減らすのは、製造部門はじめ、いわゆる「作り込む」工程における課題だと限定して考えていたのではないでしょうか。例えば車を「移動手段」という視点で考えると、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の上で言えば使用段階の二酸化炭素排出量が一番大きいのです。そうすると、デンソーは使用段階における二酸化炭素削減について、「製品を送り出した後は知らない」と言ってしまうのではなく、適切な使い方や廃棄の仕方などの面に、どういう社会システムで答えていくのかを考えることではないでしょうか。(その答えが)ITS(高度交通システム)だとすると、導入することによって「この地域は二酸化炭素をこれくらい減らせます」というようなことは、ある部門の人だけではなく、もっと広範囲に、世界中の人々が知っているべきで、この地域に当てはめるとどうなるのだろう、というようなことが共有できるようになっていかないといけません。工場の中だけで二酸化炭素対策を考えるというのは少しもったいない気がします。
 ということで、社会の課題について考える担当者は、あまり(考える範囲を)固定しすぎないでいただきたいと思います。そういう意味では、部門を超えたチームみたいなものを作るべき時期に来ているのではないか、と思っています。

 さて、この二酸化炭素削減の活動と社会貢献を並べて考えてみますと、社会貢献は社会への寄与でしょうか、地域投資でしょうか。例えば今回、技研センターをご覧いただいてお分かりだと思いますが、あれは完全に地域に対する投資です。デンソーがここで投資しているからモノづくりの基盤が豊かになってきて、そのうち、彼らの一部がデンソーに入社するかもしれません。そう考えると、地域投資しなければいけない案件を発掘していくことができます。単に社会貢献をやろうと考えると社員ができることで限られてしまうのです。そうではなくて、地域が求めていることで、デンソーが役に立てそうなことは何か、という風に考えていくと、その投資の価値に見合うものが見極めていけるのではないでしょうか。
 グローバルな戦略の中であれば、通常の担当の枠を越えた課題に対するアプローチを考えることもできます。そうなると、どういうチーム配置が必要なのか、のようなことを部門同士や地域との間で考えていただくことも必要だと思います。
 モノづくりの人材育成はできているけれども、ではその次どうなっていくのでしょうか。人材育成の次には、人材(活用)の「仕組み」作りの仕事があります。ではその仕組みはどうするのか、となってくるわけです。社内や社会のシステム作りのようなことを提案できる人材を、通常の研修ではなくて、実務でタスクを与えて、タスクの中で組織のトップや社会に対して提案するようなことをやって養成していく時期を迎えていると思います。
 今は、「車の部品を作る」というように(会社の)大きな役割が決まっています。これからは、役割が決まっていないものに対して、新たな役割を担っていく領域に入っていくと思います。その辺についてはぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それから、外国の人々のためのプログラムという提案が去年のダイアログでも出ていましたが、例えば、期間限定で、発明クラブを(ブラジルの母国語である)ポルトガル語でやってほしいです。今この地域にもいろいろな国の子どもたちが住んでいます。父母は母国に帰ってしまうかもしれないけども、日本で働き続けたいと思う日系三世・四世の子どもがいます。その子どもたちが、この地域の次のモノづくり人材として育っていくような取り組みも必要です。
 デンソーの一次・二次・三次の関連会社のブラジルからの人に、ポルトガル語で「あなたの子どもたちも参加していいですよ」と呼びかければ、全く態度が変わってくるのではないでしょうか。同じ地域に住んでいるのだから、あの技研センター、発明クラブなどの環境を子どもたちに開いていけば、子どもとの接点だけでなく、その親との接点も持てます。今年はポルトガル語で開催したら、来年は中国語で、というふうにバリエーションを持たせてもよいですね。
 技研センターには毎年何カ国くらいの方がいらっしゃいますか。なぜ聞くかといいますと、技研センターに来ている人たちが地域貢献の担い手になることがあるからです。例えば、タイから4週間来る、インドネシアから1年来る、などと分かっているとすると、その人たちの地域貢献は、日本人と同じではありません。インドネシアから研修に来た人が、日本で働く同郷の子どものためにモノづくり体験講座の講師をするという風に、いわゆる地域的な多様性を社会貢献に活かしていけると思うのです。社会制度上、誰々が先生になる、ということではなくて、人が持っているそれぞれの力を活かしやすい風土に持っていくことが大事だと思います。これは昨年来2年続けての指摘で、すぐできるものではないと分かっていますが、デンソーの場合は何でも3年くらい続けていると4年目にできています。そういうプレッシャーのかけ方もあるのです。期待されて、どう始めたらよいか、というふうに対応していく力がすごく高い会社だと思いますので、ぜひ考えてみてください。
 みなさんも「その後“あれ”はどうなりましたか」と、半年に1回くらい聞くと、デンソーも「みなさんは忘れてないんだな」と思って、やってくれると思います。デンソーも、参加者のみなさんも、ぜひ継続をお願いします。

見極めたい、CSRの進化と深化

 2日間ありがとうございました。今回5回目になるのですけれども、「何かこれまでと違う」と感じました。去年までは、はっきりと言われる方と、思っていてもなかなか言われない方と分かれていた気がするのですけども、今年は、すべての方々に、本当に自由に意見を言っていただけたと感じております。
 あとは、デンソーがそのご意見をどういうふうに受け止めて、どういうふうに行動していくかにかかっていると思います。
 私は、こうした催しを年1回やるに当たって、決めていることがあります。それは、(ファシリテータの)川北さんに「昨年言っていただいたことを、こういうふうにやりました」と報告しに行くことです。ところが、今年はそれが報告できませんでした。少し申し訳ないと思っているのですけども、来年はぜひ報告できるようにしたいと思っています。
 それから、こういうモノづくりの会社では、「モノづくりの進化と深化」という言葉を非常によく使います。私は、「CSRの進化と深化」という論文を書いてみようと思っています。CSRを行っていない会社はないと思います。それで進化していくし、深くなっていきます。つまり(CSRにも進化と深化の)両面があると思うのです。その「進む」ほうと「深める」ほうの、両方を意識して体系的にCSRを行わなければいけないと思っています。私も定年まであと5年くらいです。時間はありますので、そういう視点で何かまとめてみたいなと思っています。もしまとまったら、また何かの機会に報告したいと思います。
 最後になりましたが、予想以上にデンソーを高く評価いただいていると感じました。一方、みなさんからはデンソーがやっていることを内側に向けるのでなく、もっと外に出すようご指摘をいただきました。実は少し意識してやっていることがあります。それがデンソーエコポイント制度「DECOポン」です。こうした成果物や仕組みを、デンソーの中だけでなくて、例えば(社)自動車部品工業会などで公開していこう、と意識して始めています。それをもっと加速させなくては、と思っています。みなさんから本当にいろいろなご意見をいただきました。ありがとうございました。

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